甲状腺と妊活の関係
甲状腺ホルモンに問題があると妊娠しずらくなりますので、とても重要な問題です。
ですが、普通の血液検査では見落とされがちであり、潜在的に甲状腺機能が低下している女性が非常に多いので、ぜひ知っておいて欲しい内容です。
「甲状腺」の名前は聞いたことがあると思いますが、場所や働きはご存知でしょうか?
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある臓器です。蝶々のような形をしています。
甲状腺からは「甲状腺ホルモン」が分泌されています。
「甲状腺ホルモン」にはトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)の2種類があります。
甲状腺の病気を疑って病院で検査する場合、通常、以下3つの項目の血液検査をします。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)
FT3(甲状腺ホルモン)
FT4(甲状腺ホルモン)
低FT3症候群や、下垂体性甲状腺機能低下は見逃されやすいと言われており、分子栄養学業界では問題としています。
検査数値を読み解くのは難しいですが、妊活女性は血液データの内容を把握することが大切です。
血中の甲状腺ホルモン不足は、下記図のように、高プロラクチン血症がおこり、黄体期機能の低下、卵胞が育ちずらい、排卵障害に繋がるため、妊娠が非常にしずらくなります。
また、妊娠(着床)できたとしても流産率が上昇します。
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甲状腺ホルモンの働きとは
身体のほとんどの組織で酸素消費を増やし、基礎代謝を増大させる働きをしています。
甲状腺ホルモンの作用 | 具体的には |
熱産生 | 基礎代謝量の上昇、体温をあげる |
成長、成熟 | 正常に発育していくために必須 |
自律神経 | 心拍数をあげる |
たんぱく代謝 | mRNAの転写を促進、抑制することによる細胞機能の調節 |
糖代謝 | 消化管での糖の吸収促進 |
脂質代謝 | 中性脂肪の低下、脂肪分解促進(血中コレステロールを下げる) |
水・電解質代謝 | Na,Kイオン排泄促進、利尿促進 |
甲状腺ホルモンが過剰な場合と分泌不足の場合の症状はこの通りです。
分泌過剰(亢進している) | 分泌不足(低下している) |
頻脈・動悸・息切れが起こる | 脈が遅い |
暑がり、汗が多い | 寒がり、汗をかいずらい |
下痢 | 便秘 |
食べてもやせるなど | 体重が増えやすい(代謝低下) |
むくみ | |
脱毛 | |
皮膚の乾燥など |
甲状腺ホルモンは生命維持に大切なものだとお分かりいただけるでしょうか。
甲状腺ホルモンが働かないということは、身体が危機的な状況になっていると言えると思います。
まずは自分の身体が先ですから、「卵(卵子)」を生み出してる余裕はなくなりますね。
では、血液検査をしないと自分の状態がわからないのか?といいますと、そうではありません。
血液検査をしなくても、ある程度の自覚症状でご自分の甲状腺ホルモンの状態が推測できます。
さらに、妊活女性は基礎体温表を付けていると思いますので、基礎体温表にも注目してください。
全体的に基礎体温が低い、一相性である、高温期が短い、月経周期が長いなど、何らかのパターンが現れている場合が多く、基礎体温表も非常に参考になります。
甲状腺機能を高める対策について
身体にエネルギー不足と感じさせないこと!が大切です。
どういうことかと言いますと、「極端にお腹が空いた状態」をつくらないことです。
以下のやってはいけないことをまず、チエックしてください。
☆朝食抜き、欠食、小食、肉、魚を食べない
☆ご飯抜きなどの糖質制限
☆断食
☆食事と食事の間が長い、空腹時間が長い
☆入浴をせずに、シャワー浴のみ
☆薄着
人間は案外、飢餓に強いようにできていますので、食べることより、食べないことの方が得意です。
一度の量を食べられない方は、少しの量を回数を増やして食べるなど、工夫をしてください。
朝は食べること、できるだけ、ご飯食をお勧めします。
メモ
~甲状腺機能UP!!取り入れたい習慣~
☆貧血がある方は改善する
☆朝食はご飯でしっかりとる
☆小食の方はこまめに補食をとって
☆入浴する
☆リラックスする
甲状腺機能低下の人が気を付ける食事とは
甲状腺機能亢進も低下の方も両方、気を付けた方がよいと言われる食材は以下の通りです。
海藻(ヨード)
イソジン
ゴイトロゲンを含む食材(ゴイトロゲンとは、ヨウ素を取り込みを阻害、甲状腺肥大を引き起こすものの総称)
大豆、アブラナ科の野菜、落花生、いちご、なし、ほうれん草、たけのこ、さつまいもなど
発酵食品の大豆は心配ないといわれていますが、豆乳を毎日飲むことはお勧めしません。
*アブラナ科の植物【参考】
一般的に消費されている多くのアブラナ科野菜はアブラナ属に属し、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、カラードグリーン、ケール、コールラビ、カラシナ、ルタバガ、カブ、パクチョイ、およびハクサイなどを含む(1)。 ルッコラ、セイヨウワサビ、ダイコン、ワサビ、およびクレソンもアブラナ科野菜である。
最後に
現代人は食べすぎだと言われますが、個人的な感覚では、食べていないか、微量元素などの栄養素が足りない、新型栄養失調タイプの方が多い印象を持っています。
実際、相談者様には漢方薬を使用していただきながら、生活習慣の改善に取り組んでいく中で、基礎体温が整ってきた例が多数あります。
甲状腺機能低下は、不妊症原因の一例にすぎませんが、参考までにまとめてみました。