粉瘤は1000人に一人くらいの発症率と言われています。
一般的には炎症や痛みが起きないうちは治療をしませんが、自然治癒は難しく抗生物質の内服と外科処置にて治療を行います。
また外科処置を行っても再発しやすい病気でもあり、とても厄介な皮膚病の一つと言えると思います。
粉瘤(ふんりゅう)ってなに?
粉瘤(ふんりゅう)類表皮嚢腫(epidermoid cyst)といいます。
皮膚の内側に袋状の構造物ができ、本来皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)や皮膚の脂(皮脂)が、袋の中にたまってしまってできた腫瘍(嚢腫)の総称です。
たまった角質や皮脂は袋の外には排出されないので、時間とともに少しずつ大きくなっていきます。
身体のどこにでもできますが、特に顔、首、背中、耳のうしろなどにできやすい傾向があります。
やや盛り上がった数mmから数cmの半球状のしこり(腫瘍)で、しばしば中央に黒点状の開口部があり、強く圧迫すると、そこから臭くてドロドロしたネリ状の物質が出てくることがあります。
(日本皮膚科学会参照)
一般的な粉瘤の治療は?
一般的には良性腫瘍なので、炎症や自覚症状がなければ治療しません。
しかし外観的に問題になる場合や、場所の問題などで擦れるなど外的刺激を受けやすく、将来的に炎症や破裂を生じる可能が高いと考えられる場合は、抗生物質の服用と外科的な切除術を行います。
だからこそ!!再発させない、または炎症を起こさないようなお手当をしていく必要がありますよ。
粉瘤の原因は?中医学では胃腸の働きと関係
病院で皮膚病の治療に漢方薬は意外と利用されていますが、その効果に疑問を感じる方も多いかもしれません。
多くの方が勘違いされているのが使い方です。病院で処方されているので間違いないと思ってはいけませんよ(笑)
中医学で大事にすることは「病名」ではなく「体質」です。
病名に対応する漢方薬を使用しても効果が発揮されない場合があります!
また漢方薬のお話をする前に、皮膚病の仕組みを中医学的に知っておいて欲しいと思います。
皮膚は身体組織の最大の排泄器官であるということ
皮膚は身体を構成する最大の臓器ともいわれています。
皮膚の大切な役割の一つに「排泄」という働きがあります。毛穴から汗が排泄されていますね。
毛穴から排泄されるものは、汗だけではありません。
例えばニキビ。
ニキビも同じく毛穴に脂が詰まって炎症がおきる皮膚病です。
このように皮膚からは案外、様々な物質を排泄しているのです。
ただし、排泄される身体の不要物を大量に排泄できる器官は普通は「尿」と「便」です。
しっかり尿が出ていますか?
便秘がちではありませんか?
排泄が滞るとお肌の調子が悪い、という経験はありませんか?
消化管の働きと皮膚が関係あることを覚えておいてください。
あなたの胃腸は元気ですか?
日本人の6割は「脾の働き」つまり、消化吸収能力があまりよろしくない、と中医学では考えています。
胃袋は年代や性別にもよりますが、案外丈夫で、いくらでも食べられる、食べても全然大丈夫!という方も、消化吸収能力が悪い方は多いです。
例えば以下のチエックリストにチエックが多くつく方ほど、脾の働きが弱っていると考えられますよ!
【脾(消化吸収能力)チエックリスト】
☆下痢、軟便になりやすい
☆ゲップ、ガスが多い
☆胃もたれしやすい
☆お腹が張る
☆食べても太れない、食べる量が少ないのに太る
☆便秘しやすい
☆疲れやすい
☆体調を崩すとすぐにお腹をこわす
☆食後に眠くなる
☆下のふちにギザギザ歯型がついている
いかがでしょうか?
このように、「脾」が弱っている方や、もともと弱い方は正常な排泄がうまく行かず、皮膚を排泄ルートとして使われていると考えられます。
粉瘤に排膿散及湯は効果があるのか?
さて、粉瘤に排膿散及湯は効果があるのか?という質問の答えです。
「効かない、という人が多い。」というのが、個人的な感想です。
参考までに排膿散及湯はこのような処方構成になっています。
生薬名 | 生薬の働き |
生地黄 | 清熱解毒、化痰、止痛 |
赤芍(日本は芍薬を使う事が多い) | 清熱涼血 活血 |
桔梗 | 排膿 化痰 止咳 利咽 |
枳実 | 排膿 理気 |
大棗 | 和胃 |
乾生姜 | 和胃 |
生地黄、赤芍の消炎作用と桔梗、枳実の排膿作用を利用して化膿性疾患で排膿が不十分な場合に使用と書籍にはあります。(書籍:漢方処方の構成と適用参照)
(製造元の会社によっても配合量や生薬が違うこともあります。)
排膿散及湯だけでは完治は難しい、力不足と言えますので、いくつかの漢方薬の使用が必要です。
大昔、日本の居住空間は隙間だらけで非常に寒く、また肉食は非常に少なく、食べ物も野菜中心の時代でした。
昔も粉瘤は裕福な人におこる病気でした。
現代人は、大昔の日本人と比較すると大変裕福で食べるものも肉や脂の多い食品が多いなど全く違います。
胃腸が弱い上に、消化力を上回る日々の食生活が粉瘤の悪化を招く、と中医学では考えます。
粉瘤の炎症は火事に例えられます
皮膚病の炎症はすべて「火事」に例えられます。
口から入った飲食物が尿や便から排泄されず体内にたまっていく老廃物は、体内で温められて腐敗していきます。
腐敗物は体内で熱を持ちます、これが炎症のイメージ。
炎症は普通の水では消えません。
化学消火剤が必要なほどの強力な炎のイメージです。
病院で処方されるステロイド剤は化学消火剤のようなものですが、粉瘤がステロイド剤で治癒することはほぼありません。
それだけ炎症が強力であるという事ですね。
「じゃあやっぱり、切るしかないのね~~。」
と、諦めるのはまだ早いです。
中医学の皮膚理論を正しく利用することで治すことができますよ!!
材料(食べ物)を見直して、炎症自体を鎮静化させていきます。
粉瘤の再発防止が大切!胃腸の働きをまもること
現代人の皮膚病は粉瘤にかかわらず年々増加傾向にあるといわれています。
皮膚病を治す近道は「食べ物」「食べ方」を正すことが絶対に必要です。
粉瘤の痛みや炎症をとる⇒清熱解毒、清熱涼血漢方の利用
再発防止⇒胃腸を守る、消化力を高めるなど胃腸系の漢方の利用
治療と再発防止の2段構えで考えていきましょう。
皮膚を治すことは内臓を治すことでもありますので、長い目で見ると健康体を取り戻す結果につながります。
何年も同じ薬をのんでいるが体調が良くならない・・ いつもどこかが不調だと感じている・・ 病院に行っても病名が分からない・・など そんな経験はありませんか? あなたの体質を漢方的な視点で考えてみませんか?