多くの方を悩ませる「肩のこり」や「痛み」。湿布やマッサージでは、いっときの改善はみられてもすぐに元通り。
血行が良くなれば改善するかもと思い、ヨガやストレッチを体験会に参加。確かに良かった。
でも根本的な解決にはつながらず・・いつもと同じデスクワークの仕事に戻るとやっぱり肩はこる。
何とかしたいな~と思いながらも根本的な解決方法がかわらない。
肩こり,肩の不調は病気ではありませんが辛いもの・・やはり何とかしたいですよね。
ところで肩こりはなぜ起こるのか?
「肩こり」は、首や肩の筋肉が緊張してこわばり、不快感や痛みを感じる状態のことを言います。
筋肉は本来伸び縮みする性質がありますが、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、ストレスによる緊張、体の冷えなどが続くと、筋肉の弾力が失われ縮んだまま固くなってしまいます。
筋肉が硬くなると今度は血管が圧迫されて血流が悪化するんですね、血行不良の状態です。
すると老廃物や疲労物質が停滞して筋肉中に溜まり、また血液によって運ばれる酸素や栄養素が筋肉に行き届かず、肩の凝りや痛みを感じるようになるのです。
温泉やマッサージ、ストレッチを行い、血流が改善されると「老廃物や疲労物質」が血流にのって流されると、肩こりは楽になる!という理論ですね。
肩こりがおきる理由に注目!漢方ではどう考える?
漢方(中医学)では単純に「肩こり」という症状だけで解決方法を考えません。
肩こりが起きる原因となる自分の身体の状態~「体質」に注目します!太った人、やせている人、男性、女性、20代か50代か・・などひとりひとり体は違いますね。
具体的には、肩こりが起こる原因を4つのタイプに大きく分けて考えることができます。
①「瘀血(血行不良)」*おけつと読む
②痰湿(余分な水分や汚れ)の停滞 *たんしつと読む
③気(エネルギー)の巡りの悪化~ストレスも関係
④冷えが瘀血をおこす
それでは原因別に肩こり、肩の痛み対策についてお話しますね!
肩の痛みが強い!~瘀血(おけつ)血行不良タイプ
痛みが強い「瘀血(血行不良)」タイプは、皆様もイメージしやすい血行不良が原因です。漢方の聞きなれない言葉は「そんなものかな~」という感じで読んでくださいね。
まずは「血(けつと読みます)」の働きをイメージしてください。
「血(けつ)」は体のすみずみに栄養や潤いを届けています。また体内の老廃物を運ぶのも血の役割です。
そのため血がスムーズに巡っていれば肩の筋肉も十分な栄養や潤いが届き、肩は健やかな状態になっているはず。
反対に血行が悪くなると筋肉に栄養や潤いが不足しがちになり、老廃物や疲労物質も溜まって、肩のこりや痛みを引き起こしやすくなります。
瘀血の原因は様々ですが、高齢者、運動不足の人、慢性疾患がある人などは瘀血タイプの肩こり、肩の痛みを感じやすい傾向があります。
血液の汚れを意識した食生活を心掛けてくださいね!
瘀血タイプは他にもこんな症状が・・・
肩の痛み、肩こりの他にも以下のような症状でお悩みではありませんか?肩こり以外の他に思い当たる症状からご自分のタイプを探してください!
頭痛、関節痛、冷え、手足のしびれ、静脈瘤、子宮筋腫、卵巣嚢腫、月経不順、月経痛、月経に血塊、シミが多い,舌の色が暗く瘀点や瘀斑があるなど
取り入れて欲しい瘀血タイプの食材とは?
血流を良くする食材のキーワードは「黒」「辛み」「温性」です。
身近な食材で色が黒いもの、香味野菜などの辛み、そして体を温める食材を日ごろから食事に取り入れてみてください。
玉ねぎは代表ですが、他には紅花、サフラン、ヨモギ、シナモン、玉ねぎ、なす、黒きくらげ、黒豆、桃仁、ウコンなどがあります。
手に入りずらい食材もありますが、身近な食材を利用してくださいね!
胃腸が弱い!~余分な水や汚れが原因の肩こりタイプ
肩こりの原因が胃腸の働きと関係があるとは!意外と思われるでしょう。胃腸が弱い方や、本人の消化吸収能力を超えて、日ごろから食べている方はこのタイプに当てはまります。
暴飲暴食、脂っこい食事、甘いものの取りすぎると、胃腸が丈夫だと思っている方でも弱ります。
「脾胃(胃腸)」の働きが弱くなると、水分代謝が低下して、体内に「痰湿(痰湿と読む~余分な水分や汚れのこと)がたまりやすくなるのです。
すると「血」がドロドロになり「瘀血(血行不良)」を招き、肩こりや痛みを引き起こします。
このタイプは肥満体質の人、高脂血症の人などに多くみられ、肩こりが慢性化しやすいのが特徴です。
養生の基本は食生活を改善して脾胃の働きを整え、水分代謝の良い状態をたもつことが大切です!
また、利尿作用のある食材を積極的に取り、体内に溜まった痰湿をすっきり取り除くことが大切。
胃腸が弱い痰湿タイプは他にこんな症状も
胃腸が弱い方や消化吸収能力が低下しているタイプは以下のような症状がある方が多いです。
肩こり、肩の痛みの慢性化、湿気の多い日に症状が重くなる。肥満気味、疲労倦怠感がある、むくみ、食欲不振、眠気がとれない、舌苔が白くべたつくなど
取り入れたい!
取り入れたい痰湿を取り除く食材とは?
はとむぎ、おけら(朮、白朮)、うど、へちま、木瓜、陳皮(みかんの皮)など
ストレスが多い「気滞(きたい)」タイプの肩こりとは
「気づかい」「気配り」「気おくれ」「気が付く」「気を付ける」・・・
日本語には「気」という言葉がたくさんあありますね。
「気」とは、人の身体を動かす「エネルギー」です。普通に生活しているだけでも、人間は「気(エネルギー)」を消費しているのがおかわりでしょうか。
血管の中を走る「血」も「気」があることで、全身を巡ります。
そのため、ストレスなどで気の巡りが停滞したり、気が足りず血を巡らせる力が不足すると、血流も悪くなり、肩の凝りや痛みが起こるようになります。
また、人の身体は五臓六腑でできていますが、気の巡りと関係がある五臓は「肝」です。
肝はストレスを発散させ、気の巡りをコントロールする臓器。そのため、過剰なストレスを受けて肝の機能が低下すると気の停滞を招きます。
日頃からストレスを感じやすい人は、筋肉も緊張しやすく肩こりが悪化しがちなので、気を付けて。
こまめなストレス発散とリラックスを心掛け、気、血の巡りをスムーズに保ちましょう。
気滞タイプの気になる症状は?
肩こり、肩の痛みの長期化、情緒の変動で症状が変わる。目の疲労、ストレスが多い。
生理前の肩こりが強い。生理不順、舌辺が暗紅色。
ストレスタイプの肩こりの取り入れたい身近な食材は?
香りのある食材で発散させて!
菊花、ジャスミン、ミント、ハマナスの花、枸杞の実、ナツメ、トマト、梅、そばなど
お茶やハーブティー、アロマなどもお勧めです。
急な肩のコリは冷えが原因かも
肩こり、肩の痛みの原因の4つ目は「冷え」
冬の寒さや冷房などで体が冷えると筋肉がこわばり、血行も悪くなって肩のコリや痛みが起こりやすくなります。
こうした冷えによる肩こりは急性期に多い症状。早めの対処で悪化や慢性化の予防につながるため「冷えて肩が凝るな~」と感じたらすぐに体を温めて冷えを発散させましょう。
また体内の「気(エネルギー)」や「血」が不足していると冷えのダメージを受けやすいので気を付けて。
疲れがたまっている人、虚弱体質の人、更年期や高齢者の人などは特に意識して体を冷えから守ることが大切です。
冷えタイプで起こる肩こり、他の気になる症状とは?
突然起こる肩こりや肩の痛み。首の痛み、頭痛、悪寒、冷え、疲労倦怠感、舌苔が薄く白いなど
冷えを和らげる温め食材を取り入れよう!
香辛料の多くは体を温めるタイプの食材です。
葛粉、シナモン、ねぎ、しょうが、フェンネル(ウイキョウ)、山椒の実、八角、料理だけではなく、紅茶にプラスして飲んでも。
肩こりの基本的な養生とは
タイプによって対応は違いますが、基本的に注意できるポイントに共通点があります。
以下の4つも参考にしてくださいね!
①入浴で肩や首を温めて!~筋肉がほぐれると血行も良くなります。
②長時間のスマホやパソコンに注意!目の使い過ぎが肩こりの原因に
③毎日、少しでも良いので腕や肩を回しましょう。
④リラックスする時間をつくって!気にしすぎることも注意。
タイプは一つだけではなく複雑に重なっている場合も・・
なかなかよくならない肩こりさんはぜひご相談くださいね!