更年期障害は病気ではありません
女性の身体は年令を追うごとにホルモンのバランスが大きく変化します。
筆者である私も、遠い未来の話だと思っていましたが、どっぷり更年期世代真っ只中です。
誰しもが平等に訪れる更年期、40歳を過ぎたあたりからホルモンの分泌量は減少し、40代後半~50代前半には閉経を迎えます。
更年期と聞くと身構えてしまいませんか?
経験したことのない、まるで病気にでもなるかのように思いがちですが、それは違います。
更年期は緩やかな変化を迎える時期、出来ること、できないことを受け入れて、身体と心のバランスをとる勉強期間ではないでしょうか。
変化に戸惑いがあって当然ですが、できるだけ、ゆるゆるとした心の持ちようで暮らしつつ、ご自分の体調を整えていきませんか?
更年期障害といわれる症状は、めまい、ホットフラッシュ、冷えのぼせ、疲れ、気分の落ち込み、不眠など非常に多彩ですが、今回は相談の多い「抜け毛」について、説明しますね。
更年期の薄毛、抜け毛の原因は?
女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンという2つの代表的なホルモンがあります。エストロゲンは、卵巣から分泌される卵胞ホルモンで、プロゲステロンは卵巣から分泌される黄体ホルモンであり、このうちエストロゲンが女性らしい身体を作るホルモンで、肌や髪の毛を健康に保つ役割をしています。
更年期に入り、エストロゲンの分泌が減少する結果、髪の成長期が短く、休止期が長くなってしまいます。そのため、髪の本数が減ったり、髪の毛が痩せ細ったり、抜け毛が増え、頭頂部が全体的に薄くなってくる印象となってしまいます。
これは女性特有の脱毛症で、「女性型脱毛症」や「びまん性脱毛症」といいます。
「女性型脱毛症」とは
男性型脱毛症の特徴である前頭部や頭頂部の頭髪が軟毛化して細く短くなり、最終的には表皮に毛が現れなくなる、というパターンに対して、
頭頂部が比較的に広い範囲で薄くなるパターンを言います。
(男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版より)
「びまんせい脱毛症とは」
全体的に髪の密度が低下する、女性に多くみられる脱毛症の総称をいいます。生え際が後退するのではなく、頭髪全体が薄くなるのが特徴です。
注意!抜け毛、薄毛の原因のすべてが更年期ではありません
脱毛の原因には、病気や生活習慣、体質が影響している場合があります。「休止期脱毛」といい、精神的ストレスや外科手術、出産などを契機に成長期毛が一度休止期に以降して、数週間~数か月に及ぶびまん性脱毛が慢性化するものもあります。
他には、甲状腺機能低下症、貧血、急激なダイエットなどが原因する場合もあり、全身状態を内科や皮膚科で検査することも必要。
発毛のサイクル
髪の毛を成長させる「成長期」→成長が止まる「退行期」→髪の毛が抜けて次の発毛のための準備期間となる「休止期」というサイクルがあります。
東洋医学では抜け毛、薄毛をこのように考えます。
漢方では更年期を「腎」の弱りと「血(ケツ)」の不足と考えます。ホルモンをコントロールする臓器を「腎」と呼び、更年期に入ると腎の機能が低下、ホルモン分泌が減少すると考えます。また「血」は栄養を運び体を構成する他に、身体を潤す、心を安定させる働きがあると考えます。
「髪」は「血の余り」と呼ばれているため、血が足りなくなると抜け毛や薄毛、切れ毛、パサつきが起きます。抜け毛や薄毛の原因は、老化によるものが大きいのですが、もう一つ、頭皮環境の悪化が原因する場合もあります。
では、3つのタイプを説明します。
血が足りない「血虚(血虚)」タイプ
血虚(けっきょ)タイプ
【血が足りないタイプって?】
熟睡できない、乾燥肌で皮膚につやがない、髪の毛がぱさぱさ、抜け毛が多い、月経が遅れがち、経血量が少ない、めまい、立ち眩みがあるなど
☆血液を補いましょう!
漢方では「髪は血液の余り」と考えられています。
ツケダ薬局の代表的な漢方薬や健康食品 婦宝当帰膠、十全大補湯、参茸補血丸、レバコール、オイスターなど
身体の潤い不足、腎虚(じんきょ)タイプ
腎虚(じんきょ)タイプ
【腎虚タイプって?】
白髪、めまい、耳鳴りがある、急にほてる、寝汗をかく、皮膚が乾燥してかゆいなど
☆腎は老化と関係のある臓器です、見た目以上に老化が進んでいるかもしれません、腎を補いましょう。
ツケダ薬局の代表的な漢
方薬や健康食品 二至丹、コギク地黄丸、亀鹿仙など
頭皮がベタベタ頭皮環境の悪化「湿熱(しつねつ)」タイプ
湿熱(しつねつ)タイプ
【湿熱タイプって?】
熱がこもりやすく、頭皮のベタつきがあるタイプ
胃腸が弱い方や、アルコール、脂っこい食事をよくとるなど飲食不摂生、寝不足、ストレスなどにより、胃腸に溜まった未消化物が熱を生み出すことにより、頭皮の毛穴からゴミが排泄されている状態、脂漏性湿疹を併発されている方も。
☆湿や熱を排泄させるお手当を!
ツケダ薬局代表的な漢方薬 瀉火利湿顆粒、黄連解毒湯、五行草、晶三仙など
中国の生薬おもしろ歴史
肝腎を養う生薬・漢方薬に古くから中国では「何首烏(かしゅう)」と呼ばれるツルドクダミの塊根があります。
「何首烏」という名称の由来は、昔、若白髪で悩んでいた何(か)という青年が仙人の教えてくれた薬草を飲んだところ、首から上、すなわち髪の毛がたちまち烏(からす)のように黒くなったという伝説があります。何首烏を含んだ漢方薬に「当帰飲子」という薬があるほかに、何首烏末を含んだ健康食品などが販売されています。
更年期の抜け毛を予防するための3つ養生とは?
①食生活を見直す
漢方の考えでは、食材は薬の一つと考え、毎日の食べるものや、食べ方がとても大切だと考えます。健康番組の多くでは○○が△△に効く!と毎日のように放送されていますが、自分の体質に合うかどうかはあまり語られていません。
まずは、ご自分の体質を知ることから始めてください。
自分の体質をチエックシートなどで調べたり、漢方相談を利用することをお勧めします。
では、簡単にタイプ別にどんな食材をと毎日の生活に取り入れると良いかを紹介します。
血虚タイプ
血を補う食材とは?
ほうれん草、人参、小松菜、なつめ、プルーン、ブルーベリー、レバー、豚肉、卵、かき、ナマコ、黒ゴマ、黒米、あうzき、トマト、クコ、モモ、ザクロ、イチゴなど
腎虚タイプ
身体を潤わせる食材とは?
豆乳、豆腐、れんこん、きゅうり、トマト、ゆり根、豚肉、カモ肉、すっぽん、あさり、しじみ、あわび、ハマグリ、牛乳、スイカ、レモン、まつのみ、白ごま、黒ゴマ、白きくらげ、菊花など
湿熱タイプ
湿や熱を追い出すデトックス食材とは?
ハト麦、玄米、ゴボウ、大根、こんにゃく、春雨、キノコ類、葉物野菜、海藻類、緑豆など
どんなに良い働きを持つ食材でも、自分の胃腸の消化吸収能力には差がありますよ!
よく噛んで、腹八分目を心掛けてください。
②10時までには布団に入り早く寝ましょう
漢方では血は夜に作られると考えます。身体が疲れた時は特に早めに。理想は10時には布団に入ってほしい。起きているだけでも血は消耗します、血が消耗すると一緒に腎も弱ります。
血を増やして、腎を元気にしましょう!
③深呼吸をする
抜け毛や脱毛に何故関係が?と思われるかもしれません、ですが1日中、気にし続けていませんか?物事にとらわれて動けなくなることも「心」を安定させる「血」の消耗と関係があります。
深呼吸することで体にエネルギーが作られると漢方では考えます。「気」のエネルギーから「血」が作られるので、気が付いたら時々、深呼吸をしましょう!
洗い方も大切!アミノ酸系シャンプーはどう?
伸和製薬「アイプリーナシャンプー」
容量 | メーカー希望小売価格 |
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70mL | ¥1,760(税込) |
210mL | ¥1,407(税込) |
当店、ツケダ薬局で人気商品です。
「髪のパサツキ」「細毛、薄毛が気になる方」におすすめの泡立ちを抑えトリートメント機能を付加したスカルプ系シャンプーです。
使い方は
①髪と頭皮をぬるま湯で約5~10分ほど洗って、
②適量の泡を手に平にとり、全体になじませ、
③指の腹で丁寧に洗います。
大切なポイントは、まず何もつけずに5~10分くらい頭皮を洗うこと。
髪の毛を洗うのではなく、頭皮を洗うイメージで。
案外、洗えていない人が多いようですよ!
様々な頭皮ケアシャンプーが発売されていますが、洗い方も一緒に見直してみてください。